ヒョルト人のカルト:ユールマル

Epikt2008-05-01

2chで話題になってたんで、そういえば見てなかったな、と読んでみました。道化にして愚者、トリックスターのユールマルのカルトです。プレイヤーには許可しないし、NPCで出すのも雰囲気を壊す恐れがあって使いにくい。日本語版「ヒーローウォーズ」では光持ち帰りし者たちの1柱としてしか紹介されてません。

トリックスターって日本語だと詐欺師らしいですが、神話においてはまたちがったニュアンスが出てきますね。くわしいことははてなキーワードを参照してください。でも文明化されていないヒョルト人社会なので、村の馬鹿といった感じ。それで片付けるには危険な存在ですけれども。ユールマルの神話は冒頭から飛ばしてます。

●ユールマルの始まりはグローランサの宮廷の無秩序の神ラツラフ(Ratslaff)の生意気な鼻汁の一片でした。彼はラツラフの言うことすべてを馬鹿にしましたが、ラツラフが鼻をまるごともぎとって食べてしまうまで、取り除くことができませんでした。いったん食べられると、それは吸収されず、最後にはラツラフを水浸しにする大便の洪水を引き起こしました。ラツラフの最後の現れはユールマルの笑いでした。

鼻汁(snot)には嫌なヤツ、という意味もあるそうですが、そんなことは問題ではありませんか? これがラツラフの最期だとすれば悲惨すぎる。

●それからユールマルはさんざん宇宙を引っ掻き回します。ルナーでは完全だった「全」がそれぞれの自己に分裂していく過程とされているのが、ユールマルの大暴れのようです。ユールマルには道徳と知性の持ち合わせがないので、気の向くままやりたい放題にやりました。襲われたり、潰されたりしても回復し、生まれ変わって存在し続けました。世界はだんだんと無秩序になっていきましたが、ユールマルも少し弱りました。そしてなぜかオーランスの仲間になります。

●それは光持ち帰りし者たちの探索の途中、地界で起こったことだそうです。ユールマルはオーランスと、トリックスターの束縛(Trickster Bond)と呼ばれる関係を結びました。オーランスはユールマルを保護し、ユールマルはオーランスに従うというものですが、ユールマルが完全に馴らされることはありませんでした。ユールマルはオーランス一行を助けたり裏切りったりして、最終的には光持ち帰りし者たちの探索行を成功させました。

●ユールマルの信者は進んでなるものではなく、ユールマルに触れられた(touched)と周囲から言われた人間が押し込まれるポジションです。ぶっちゃけ、ある日突然おかしくなった人間をそのように扱います。日本の妖怪の憑物を連想させますね。信仰の位階も使徒しかありません。それ以前の入信者や帰依者の段階はありません。ユールマルの徒は道徳や法や社会の外にいる存在であり、しかも危険なので、ヒョルト人社会ではリンチしたり殺したりしてもいいことになってます。

●ユールマルに触れられるとどうなるかも書いてました。慢性的な苦悩、慢性的な悲しみ、つむじ曲がり、独特な理由によって問題を起こす、独り言を言う、あるいは一般的な狂気などなど。これは別にカルトがそうなれと要求するわけではないのですが、信者はだいたいそんな感じなんだそうです。

●ユールマルの信者が社会に許容される方法が2つあります。1つはオーランス信者の束縛を受けていること。この場合、オーランス信者はユールマル信者のやらかしたことの責任を全部引き受けなければなりません。罰や賠償を引き受けたり、リンチのために集まった群衆を静めるためには、族長なみの財産と権威がないと難しいそうです。なので、普通は族長が引き受けます。ユールマル信者はオーランスの一部のクエスト(特に光持ち帰りし者たちの探索)を再現するために必要なので、そういうことになります。束縛されたユールマルの魔法はやや制限されて、周囲の人間にとっての危険は減ります。

●もう1つは定められた役割(Prescribed Roles)を果たしている場合です。こっちはユールマルに触れられたのが子供だったりしたときに使うようです。子供が狂気にとらわれ、癒し手でも回復させられない場合、オーランスの神巫がトリックスターを追い払う儀式を行います。それでも追い払えなければ、 Rite of Mold and Mold を行います(訳せない…かびと土の儀式? かびと形成の儀式?)。その結果、対象は死ぬか、定められた役割のユールマル信者になります。

●長くなったので続きは次回。

● Ayukata さんのエルナーの長館に、いかにもユールマルらしい神話があります。
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