ヒョルト人のカルト:ヴィンガその2

Epikt2009-02-20

●「Storm Tribe」収録のヴィンガの神話に「ヴィンガはどのようにして雷鳴の兄弟たち(Thunder Brothers)に加わったのか」というのがあります。雷鳴の兄弟はオーランスの息子の戦士たちです。ヴィンガが加わるまでは、男だけの集まりでした。

●ヴィンガは成人すると、農場の女となることを拒み、父オーランスの一門に加わることを決めました。母であるアーナールダは彼女の決意を見て、昔オーランスから贈られた皮の盾と青銅のジャヴェリン(投げ槍)をヴィンガに与えました。彼女の姉妹たちは泣いて引きとめようとしましたが、エンフェラルダだけはヴィンガを支持して、彼女の力のこもったお守りを贈りました。

●多少はしょりますが、ヴィンガはまずおのれの力量を証明するために、雷鳴の兄弟の敵である巨人、骨齧りのバンシュ(Bansh Bone-biter)を倒しました。彼女はバンシュの首をたずさえて、父と兄弟たちのいる雷鳴の兵舎(Thunder Barrack)に行きました。

●ヴィンガの要求は雷鳴の兄弟たちを怒らせました。しかしオーランスは真面目に考えました(息子たちの女性観を変えるいい機会とも思えました)。彼女の持ってきたバンシュの首は決定打にはなりませんでした。すでにスタークヴァルがバンシュが仕えていた巨人、決して眠らぬカンクスタンク(Kankstank Neversleep)を討ち取っており、その功業の方が優れていたからです。

●ヴィンガはどんな方法でも自分を試して欲しいと言いました。そこで雷鳴の兄弟たちとヴィンガはそれぞれの得意な分野で技比べをすることになりました。スリングの勝負では、ヴィンガの投げた石はヘドコーランスと同じくらい遠くまで飛びましたが、彼の石のようには戻って来ませんでした。ドロガーシが提案した踊り比べでは、ヴィンガは他の男たちより優雅に踊りましたが、音楽が早くなると足運びを誤り、ドロガーシに負けました。ヴァンガンス提案の飛び比べでは、彼女は自身の風を呼び、ヴァンガンスと同じくらい高く早く飛んで見せました。しかしヴァンガンスが何にも乗らずに飛んだのでヴィンガの負けになりました。

●彼女はどの技比べでも1番になりませんでしたが、2番にはなりました。オーランスは彼女を認めましたが、雷鳴の兄弟たちは認めませんでした。フィノヴァンが敢えて言いました。「私の妹は多くのことが2番目に上手ですが、戦いにおいて次善では十分ではありません。また彼女はあなたにだけではなく、私たちにおのれの力量を示さなければなりません。」

●ヴィンガはフィノヴァンの正しさを認めました。そこで彼女はジャヴェリンの投げ比べを提案しました。兄弟たちが投げた後、ヴィンガは最後に投げました。そのジャヴェリンは1マイル(約1.6km)も飛び、境界を示す石を砕きました。兄弟たちは彼女の力を認め、喜んで雷鳴の兵舎に迎えました。

オーランスの氏族が初めて防衛のために召集されたとき、女たちもそれに加わったそうです。しかし戦がどんなものか知ると、女たちは農場に残って他の方法を探すようになりました。ヴィンガだけが父への忠誠のために戦いに耐えました。