霊魂の城

カトリックの神秘家聖テレサ(テレジア)の本。ラファティの「第四の館」の訳者後書きで触れられていたので読んでみた。神秘主義者らしいという前知識で読み始めたら、他の修道女のための手引き書として書かれていて、アレ?と思ったのだが、読み進めたらやっぱり神秘主義だった。聖から俗まで幅広く扱う訳者の柳下毅一郎の幅の広さよ。
 
●霊魂を7つの館(部屋)をもつ水晶の宮殿にたとえて、祈りより入る第1の館から最奥の神の住まう館までを解説したもの。途中、京極夏彦の「鉄鼠の檻」がちらついて、どうしても禅と比較してしまいたくなったのですが、やっぱりちがうのだろう。ルナーの道の教え、第七の魂を覚醒させるためのクエストがきっとこんな感じなのだろうと思った。というか源流の1つかな。
 
田中小実昌の「ポロポロ」「アメン父」もうこういうことなのかと思ったりしたが、どうだろう。ちがうよ、と一蹴されそうであるが。
 
●あと修道女が物を書くときのテンプレなのかしらんが、合間合間に自分を卑下し、神を讃える言葉が入る。謙譲の徳だそうだ。この書き方は見覚えがあるなと考えてみたら、辛酸なめ子だった。たしかミッション系の学校を出てるんですよね。
 
 
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