転んだ嵐のダーステン

Epikt2008-09-25

●黒樫の氏族の族長 Darsten Turnstorm ですが、 mallion さんは“嵐返しの”ダーステンと訳しておられますね。俺は“転び伴天連”のような改宗者とか裏切り者を意味してるのかと思いました。両方の意味がかけてあるんでしょうか。

●ダーステンは実際の年齢の40代より老けて見えます。何年も贅沢な暮らしをして太りましたが(てことはイラストは若い頃の姿か)、今でもあなどりがたい戦士であり魔術師です。ダーステンはターシュの風習(口ひげなど)と装束を模して、ルナー帝国の属州領であることを示そうとしています。彼にはよく訓練され、優れた武具を身につけた戦士団が従っています。

●ダーステンはカリルスターブロウの反乱(1613年)では、氏族と共にルナーと戦いました。しかし反乱軍はルナーの将軍ファザールに破れ、ダーステンはルナーに逆らった者の末路を見ました。ダーステン(とおそらくブラックマー)の心を冷やしたのはこんな光景だったようです。

 ファザールは彼の怒りの力を見せてやった。彼は女祭に命じて、オーランス人の族長たちが子供のように茫然とするなか彼らにルナーの地獄を見せた。そこで彼らが見たのはルナー帝国の有名な敵、シェン・セレリスが火あぶりになっている姿だった。“木々を跳びこす者”は魔物に捕まえられて奈落の底へ投げ込まれ、その姿は消えた。
(『グローランサ年代記』P.179)

ダーステンは嵐の部族の破滅を知り、ルナーの道に乗り換えました。従兄弟のブラックマーがルナーの後ろ盾を得てコリマーの部族王になると、ダーステンは新しく作られた黒樫の氏族の族長に任命されました。彼はこの立場と王との関係から、氏族長でありながら部族王にも匹敵する莫大な富を得ました。
黒樫の氏族

●ルナー化につとめるダーステンですが、ヒョルト人の習慣どおり4人の戦の嵐を従えています。剣の近侍はシミターを持ったヤーナファル・ターニルズの戦士、盾の近侍は“忠実なる嵐”ドバーダンの牧夫、槍の近侍は熊のオデイラの狩人、後陣は“内でつなぐもの”ディーゾーラの癒し手です。4人の戦の嵐のうち3人がルナーの神の信者というのが、いかにもルナー化の過渡期です。もしルナーの支配が成功したら、ヒョルト人がどんな感じになるのかうかがえますね。
ルナー帝国のカルト:ヤーナファル・ターニルズ
ルナー帝国のカルト:ディーゾーラ

●ダーステン本人は言うほど強いかな、という感じです。彼に手を出すとブラックマーやルナーの報復があるというのが一番怖いのかもしれません。戦士としての強さより、ドバーダンの帰依者としての魔術の方が優れてます。でも一番高い能力が〈財産:9M3〉だったり、決め台詞が「馬鹿め、オーランスは死んだわ!」だったりして、あまりにも悪役です。