気になる部分、その他
●月に一度はそれほど遠くもない実家に帰って親に顔を見せることにしている。実家には自分の荷物はほとんど無いのでリハビリというか毒抜きにはちょうどいいのだが、結局ヒマなので本を読んでばかりになります。
●岸本佐知子のエッセイ「気になる部分」。恐いものについて書いた一章があって、ゴキブリが恐いという話が出る。何が恐いってつかむとわさわざ動くあの感じとか、苦い味とか、と書いてあってぎょっとしたのだが、まんまとはめられたと考えるべきでしょうか。
●京極夏彦の「豆腐小僧双六道中記」。かなり前に出たのに今まで読んだことがなかった。文庫の棚を見たら「ふりだし」編と「おやすみ」編があって続きものになってるんですね。まだ続き出るのかな。
●半分は豊富な妖怪知識をいかした妖怪雑談で、そういう話が好きな人間にはたまらぬ。この話の妖怪たちは人間が思い浮かべたときだけに存在して、現実の物質なんかには触われもしないという約束なんですね。存在が人間に気づかれることもありません。なので基本的にその場に出現した妖怪同士で駄弁ってるだけ。こんなんで話がオチるのかと思ってたらちゃんとオチました。たいしたもんです。
●俺が笑った妖怪同士の会話を一部抜粋。
「まあいいや。吾はね、飯綱大権現だよ。あのさ、面倒臭いけども、消えてくんない?」
「消えたいけどね面倒臭いし。何だ、あんた神様かあ。なら、ほら。その縄で縛るとか、何かするんでしょ?」
「いいじゃん。形式的なものなんだからさ。まあ神様と判った段階で、その、一応畏れて欲しい訳よね」
そうだよねえ、と小豆そぎは申します。
「自分はね、その、お祓いとか退治されたことがない訳さ。誰も祓う程恐がらないからねえ。恐がっても逃げるだけで、お祓いとか未体験なんだわ自分の場合。祓われ慣れてないという感じ?」
感じ? じゃねえだろう、という。妖怪が現代語で会話するとまったくらしくないんですね。竹中直人が秀吉をやったときに現代語でやってみたけどやっぱりらしくなくって駄目だったとどこかで言ってたのを思い出しました。
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