聖徳太子の密使

●タイトルだけ聞くと古代政治陰謀モノっぽいが、ファンタジーなのだった。聖徳太子の異国の知恵の宝を求めよという命を受け、その娘珠光王女が男装して旅立つ。共をするのは悍馬の青龍と三匹の猫、北斗、オリオン、スバル。三匹は人間に姿を変え、太子から与えられた七星剣、天沼矛、銀の弓で活躍する。

平岩弓枝といえば御宿かわせみの人、時代モノ作家というイメージでしたが、何年か前にぽつっと西遊記を書いたんですよね。それで「?」と思ってたらこの聖徳太子の密使が書かれました。

●出だしはワクワクしてたんですが、途中から内容が薄い気がしてきて、最後は唐突にまとめられてしまった、という印象でした。読んでてこの話のこの感じはなんだろうと考えていると西遊記なんですね、これ。人数もあってる。西遊記を書いた、その結果生まれた二次創作というか。

●時代小説で一家を成した作家が書く古代ファンタジーというのは貴重だと思うので、この方向での次の作品に期待します。
 

聖徳太子の密使 (新潮文庫)

聖徳太子の密使 (新潮文庫)