日向禅

ファイティングファンタジーシリーズの話になれば、日向禅に触れないわけにはいきません。セプタング・エースの方がわかりやすいかもしれませんが。

●今は亡きTRPG専門誌「RPGamer」にタイタンを喰らえ!!!という記事を連載しておられました(挿絵は吉井徹)。俺が驚いたのは記事本文につけられた詳細な注釈です。いちいち出典が書いてありました。『モンスター誕生』の229を参照、とか書いてあるの。いやマジで。油断すると英語圏の知識や未訳のゲームブックのネタが混じってたりもしました。これは論文か何かかと思いましたよ。それだけ力を入れて元はとれるのかとも思いました。

●もともと英語のできる人らしく、ザンスシリーズの訳の誤りについて書いてるのを見たことがあります。原書を読むことができ、しかも英語の駄洒落やジョークも理解できる人だったわけです。

●きわめつけはVol.7につけられた付録のアドベンチャーゲームブック「凶兆の九星座」です。セプテム・セルペンテース著、日向禅訳という体裁で書かれたFFシリーズの新作でした。原題は THE NINE CONSTELLATIONS OF ILL OMENS という。ちゃんと表紙にFFマークが入ってました。カバーイラストが HUGO HALL 、挿画が吉井徹と一部の人間にとっては宝物になる一冊。

●内容もそれまでのFFシリーズを踏まえたネタや名前(人名、モンスター名、地名…)を連発、FFシリーズに特有のトリックや解法の癖をよく再現してたと思います。で、元ネタのわからない俺のような人間のために、次号のVol.8で2ページにおよぶ注釈記事を載せたそうです。タイタンの記事でもわかるとおり、かなり詳細な。

●この手の注釈では P・K・ディックの「ヴァリス」に訳者の大瀧啓祐がつけた詳細な注釈にあきれたことがあるのですが、ここまでいくと病気だと言わざるをえません。もっか休養中の日向禅ですが、また何か書いてくれないかなぁと期待して待っています。