ヒョルト人のカルト:トーヴァルド

●全知全能というのは難しくて、神様は自分では持ち上げられない山をつくれますか? という屁理屈があります。同じく、知らないということを知らないのは全知とはいえません。自分が全知ではないことを知っているのが賢人である、といったあたりが人間の限界です。ランカー・マイは多くのことを知っていますが、全知とはされていないようです。

●ランカー・マイは神界、精霊界、魔道界が分かれたのを知っていて、オーランスに仕えるために神であることを選んだそうです。そのとき持っていた魔道の知識の一部を羽ペンで巻物(Scroll)に書いて保存しました。彼が書いた巻物を大いなる巻物(Great Scrolls)といい、そのほとんどが大暗黒で失われましたが、彼の従者トーヴァルド(Torvald)はわずかな巻物を守り抜き、世界に残った他の巻物を集めました。ランカー・マイの下位カルト“錬金術師”トーヴァルドは神教のカルトでありながら、この巻物によって魔道士と同じように呪文を投射することができます。

●面白そうなカルトですが、制約が多いです。巻物1つを魔道書として扱い、読解できた巻物を自分のものとするためにはヒーローポイントを5点も消費します。また神力は持っていますが、神力や神性介入を使うときにはペナルティをこうむり、入信者より帰依者の方がより大きいペナルティを受けます。さらに神界にいるときは「異質」か「危険」の修正も受けます。本来ランカー・マイが属している嵐の領域でさえ、これはさけられません。

●しかも新しい呪文が書かれた巻物を創造することはできません。巻物の複写ですら、奥義《術具を創造する》を使わなければできません。つまり現存する巻物の範囲がカルトの限界なんですね。カルトが記録している巻物は147で、そのうち32だけが1つ以上の呪文/呪式を含んでいます。当然、巻物はそれぞれのランカー・マイの寺院の厳重な監視下でしか閲覧も使用も許されません。

●巻物の半数以上は錬金術に関する呪文が書かれているものだそうです。残りの巻物の多くは言語を翻訳する呪文。派手なのを期待してた俺はがっかりです。魔道と神教のコンパチで中途半端なことになってる印象。ただしこのカルトは「誤った信仰」ではないので、成長にハンデはありません。

●トーヴァルドの信者は保守的なヒョルト人からは魔道士と見なされることがあります。ヒョルト人は魔道を魂を失う技と考えており、信者が受けるペナルティは魂の堕落によるものとされています。