エシルリスト卿

●実体のまま異界に入って長時間すごした後、物質界に戻ってきた英雄が英雄戦争を迎える時期のドラゴン・パスにもいます。黒馬領(Black Horse County)の領主エシルリスト卿(Sir Ethilrist)がそうです。サーター王国圏から見れば黒馬領はターシュ王国と同じくらい遠いのでドラゴン・パスの住人と言えるのかよくわからないのですが、日本語版「ヒーローウォーズ」には黒馬領の出身文化キーワードが載ってます。

●ところでネットで見てるとサーのついたエシルリストは卿と訳されているのですが、ヒーローウォーズでは自称したのは伯になってます。正確にはエシルリスト伯なんでしょうか。それで、そうやって集めた情報を並べてみます。

●エシルリストはなんと第二期の人です。スロンストの出身で、帝国の時代に傭兵団長として神知者に雇われたり神知者と戦ったりしました。その頃は彼の傭兵団は“白馬団”と呼ばれ、彼自身も慈悲深い騎士として知られていたそうです。ラリオスで戦い続けたエシルリストは1050年に不老不死を獲得しました。さらなる力を求めた彼はみずからの部隊を地界に導き、その後地上では彼の消息は途絶えました。

●エシルリストが再び姿を現したのは1506年、オラーヤでおこなわれたルナー帝国とペントの騎馬遊牧民との戦いの場です。この戦場では両陣営の解放した強すぎる魔力にのために異界との障壁が破れ、跳梁する混沌の怪物たちによってそれぞれの軍がほとんど壊滅するという事件が発生しました。これは「恐怖の夜」と呼ばれ、ルナー軍にいたホン・イールも生還しませんでした。
恐怖の夜Night of Horrorとエシルリスト卿 - illuminate33の日記

●このとき、異界から現れたのがエシルリストと彼の部隊でした。彼らは黒い馬に騎乗していました。戦場を見わたしたエシルリストはすばやく判断して、ルナーに加担しました。彼はその後、20年間をルナー帝国のために戦い続け、1527年になって赤の皇帝に報酬を要求しました。しかし皇帝が彼に与えた封土はまだルナー帝国領ではないドラゴン・パスにありました。エシルリストはそれでもその報酬を受けました。彼は伯を自称し、その地を放牧地としていたグレイズランド人と戦って追い払い、1545年に黒馬領をうち立てました。エシルリストは黒いマントをはおった黒騎士となり、性格もラリオスにいたころとは変わって非情になっていたそうです。不老不死の彼は1621年の今でも黒馬領を支配しています。

●黒馬領の政治体制はカルマニアのカースト制度(よく知りませんが)に似ています。魔術は黒馬教団の魔道です。農奴階層もいますが、戦士階層は他国に雇われる傭兵組織として働いています。ポリシーはなく、より高い報酬を出す側につきます。現在の動員数は歩兵も含めて最大5500人だそうで、イェルマリオンの陽の天蓋領と似たような存在かもしれません。