三途の川

オーランス信者にとって「剣の川(River of Swords)」が、日本でいう三途の川にあたるようです。昨日書いたようにオーランス人の死者はこの川にかかった骨の橋を渡ります。光持ち帰りし者たちの神話では、オーランスと仲間たちはこの川を渡し守と交渉して渡してもらっています。橋には見張り番がいるから避けたんでしょうか?

やがて剣の川に出た。生きている者の渡し賃など聞いたことがないという渡し守ジェセットを、イサリーズが説き伏せてそこを渡った。


グローランサ世界はよくできてるなと思ったのは、この“渡し守”ジェセット(Jeset the Ferryman)は実はウズ(トロウル)の七聖祖の1人なんですね。オーランス神話の脇役である渡し守が、彼に焦点をあてるとウズの神であるというこのトリック。ジェセットはウズの女神コラスティングの子供で、まだ地底にいた頃のウズが故郷を離れたとき、船を発明して彼らを輸送しました。後にオーランスの一行だけでなく、定命の祖父やイェルムも運びました。今現在でもあの世に渡る連中のために渡し守として働いているわけです。

●このジェセットが船を漕いでいるのが「スティクス河(River Styx)」だそうです。大胆不敵な剽窃っぷりに笑ってしまいますが、ギリシア神話の三途の河の名前そのまんまなんですね。あちらの渡し守はカロンですが。ということは剣の川=スティクス河になります。グローランサでのスティクスは闇の最後の一滴と呼ばれる女神とされています。

●では後世になって光持ち帰りし者たちの探索行を成功させた英雄ハルマストもこの川を渡ったのかというと、これがまたわかりません。彼の神話には剣の川もスティクス河も出てこず(俺の知ってる少ない資料にかぎってですが)、「骸の川(River of Corpses)」の名前が何度か出てきます。これも同じ川を指しているのかどうか。