ヒョルト人のカルト:ヴァリンド

Epikt2008-11-10

●寒くなってきたので、嵐の神殿の冬の神ヴァリンド(Valind)はどうなんだい? と考えたのですが、この人もなんだか手に余ります。ものすごく顔が広い。規模がグローランサ全体とは言えないまでも、北の大陸ジェナーテラ全体に及びます。北の氷河から荒野までが本拠地で、ドラゴン・パスだけでなくルナー帝国でもその他の地域でも、ヴァリンドの名前そのままで認知されてます。オーランスよりも知名度が高いのではないでしょうか。もっとも大気の働き全部がオーランスの顕現だとすれば、ヴァリンドもオーランスの一部なのですが。

●嵐の神殿ではヴァリンドは邪つ風の神ヴェイドラス(Vadrus)の息子です。ヴェイドラスは原初の嵐ウーマスの子ですから、オーランスにとってヴァリンドは従兄弟になります。神々の戦においてオーランスの部族とヴェイドラスの部族は争い、真の親族殺しを引き起こしました。その復讐戦でオーランスはヴェイドラスを打ち破り、族長の権限をヴェイドラスの息子ヴァリンドに引き継がせました。ヴァリンドは臆病者でオーランスに降伏して奴隷になっており、この弱い従兄弟を族長にすえることで不和を生じさせ、ヴェイドリュディ(Vadrudi)の一党を弱らせようというのが狙いでした。

●ですが、ヴァリンドもなかなかの策略家らしく、不和なら不和のままで身内を争わせ、自分を脅かす者が出ないようにして統治しているそうです。彼が従えるのは雪や氷、みぞれ、凍てつく風、冷気、氷のデーモンたちなど、冬の眷族です。またヴェイドラスの子供であるガガース、イファーラ、モラーニ(モラニ)などもこのグループに入るようです。

●ヴァリンドのカルトの入信条件は“伝統的な指導者を拒絶すること”なので、信者は氏族から出て行きます。これが追放なのかどうかわかりません。ヴァリンドはウロックスほども好かれてはいませんが、それでも雷鳴の兄弟に数えられることがあります。なので、氏族が完全に縁を切ることはないのかもしれません。信者は高山や荒野に1人で暮らし、生計は狩りや略奪でたてます。こんな生活で生き残っている者はかなりの戦士と言えます。