諸星大二郎

Epikt2008-10-16

●曖昧な境界といえば諸星大二郎でしょう。諸星大二郎の線は不安定です。手塚治虫が「諸星さんの絵だけは描けない」と発言した、という伝説がありますが、これは雑誌の対談に収録されているそうです。手塚治虫はアニメ風のはっきりした線を描くので、たしかに真似はできなかったかも。

諸星大二郎は怒々山博士のギャグ路線から、「暗黒神話」「孔子暗黒伝」のシリアス、「妖怪ハンター」、なぜか「栞と紙魚子」、現代社会、グリム童話、伝奇などなど作風が広く、まとめてどうこう言える作家ではありません。しかし学生時代に古本屋めぐりが趣味だった友人の部屋で読んだ過去の作品。テーマにも絵にもゆさぶられ、まったく新しい世界のように思えました。その頃にはもうベテランだったわけですが。

●で、その諸星大二郎の「西遊妖猿伝」がモーニングで再開されるそうです。再開と言っても他の雑誌での第2部の連載が97年までだったので、11年ぶりだとか。俺としては妖怪ハンターを描いて欲しいのですが、それでもあのモーニングに諸星大二郎が連載なぁ、と驚くばかり。この不況で漫画雑誌業界の再編成が進んでいる中、モーニングはいい作家を集めてますね。