暗黒のファラオの神殿

グローランサの嵐の神殿の復讐の代行者について書く予定でしたが、唐突に思い出したのでそっちはまた明日にでも。

クトゥルフ小説に「暗黒のファラオの神殿」というのがあります。ロバート・ブロックの著作で、青心社の「暗黒神話体系シリーズ クトゥルー」だと3巻に収録されてます。そのネタバレをするので、まだ読んでない方、先に自分で読みたいという方はこの先は読まないでください。2chにちょっと書いてしまいましたが…。


●この作品のキモはナイアーラトテップを奉じた暗黒のファラオ、ネフレン=カによって秘密の墓所の壁面に描かれた未来のビジョン(壁画)にあります。ネフレン=カの死後、その壁画はタペストリーで隠され、ナイアーラトテップ邪教の集団が現在より少しだけ先を開けるようにしました。邪教の集団にしては良識的な判断ですけども。

●問題はこれを毎日やってるらしい点です。代々の神官が毎日、墓所に降りて1日分のタペストリーを開けていると神官本人が言ってました。その理屈で言えば壁画は1日単位で描かれていることになる。実際、この点は小説の鍵になるアイデアなので動かせません。

●それで、1日ごとに予言の絵を描くとなるとどのくらいになるのか。1枚の絵が幅30cmあるとすると、トータルで膨大な距離になります。作品中で確認されているので、13世紀の十字軍エジプト遠征と現在の2点の絵を基準に考えてみます。13世紀の時点でネフレン=カの死後およそ2000年だそうなので、
2000×365×30=21900000
21900000cm=219000m=219km
ネフレン=カの死後直後から描かれたとして、十字軍までで219km。

●作品中の現在というのがわかりませんが、エジプト研究の花形、ランドルフ=カーターのモデルだと言われているハワード・カーターの時代だと考えると、1900年。十字軍から1900年までは、
681×365×30=7456950
7456950cm=74569.5m=74.5695km

●最初から現在まで歩くと294kmになります。描いたネフレン=カは神の力を借りてるからどうとでもなるでしょうが、この長さの壁画にタペストリーをかけたり、一晩で見て歩くのは常人には無理です。しかも、ネフレン=カは命がつきるまで描いたそうなので、まだこれから先どのくらいあるのかもわかりません。

●なので、毎日のことを描いたのではなく、何もない時期はとばして歴史的に重要なことだけ描いたのだ、としておいた方が無難ですね。ちなみに2681年間の毎日分の絵を描くと978,565枚でした。もちろん彩色の問題がありますが、もののけ姫のセル枚数は144,043枚だそうですよ。