嵐の神殿の神罰

Epikt2008-09-09

●神による報復を理解しようとすると、その前に神罰とは何かを理解しなければならないようなので、先にそっちにあたりました。辞書片手なもんで遅い遅い。

●要するに「神教徒は神が定めた規範に従って生きなさい。道を踏みはずすと神罰が下ります」ということでした。ヒョルト人の場合、嵐の神殿の主神オーランスの言葉や神話がその規範を示しており、法の源ともなっています。

●嵐の神殿は神々でも失敗するのだからいわんや人間においておや、という主義です。誰でも失敗はするのです。現にオーランスは若気の至りで宇宙の皇帝イェルムを殺してしまい、大暗黒を呼び込んで世界を滅ぼすところでした。しかし、そのつぐないは自分でしなければなりません。オーランスは光持ち帰りし者たちの探索行をおこなって、世界に光を取り戻しました。

●嵐の神殿の信者にも同じことが求められます。失敗するのは仕方ありませんが、そのつぐないはしなければなりません。神に対する冒涜や違反行為は、賠償(牛や馬や羊などで)すれば赦されます。罪の大小に応じて賠償額も変動し、信仰の度合い(俗信者、入信者、帰依者)によって厳しく適用されるようになります。例えばフマクト信者が臆病風に吹かれて戦場から逃げ出した、チャラーナ・アローイの癒し手が武器を取って戦った、などが神に対する違反となります。

●そのような違反行為があると、嵐の神殿から信者に神罰が下ります。このシステムははっきり決められています。まず違反者が属している共同体(ヒョルト人の場合、氏族か)に嵐の神殿から呪いが送られます。違反者が1人でも共同体全体に呪いがかけられます。

●呪いの効果は穀物の不作、人間の病気、家畜の疫病、牛の乳の出が悪くなるなど、神によっていろいろです。こうした兆候により、神巫や司祭は呪いを感知します。次に占いなどでその原因を探します(必ずしも神罰だけが原因とは限りませんが)。その結果、違反が明らかになれば、違反者につぐないをさせなければなりません。恐らく神巫か司祭が仲介となって、神に対する贖罪(賠償)がなされて解決するのだと思います。

●問題は原因となった違反者がわからない場合と、違反者が罪を認めず、つぐなおうとしない場合です。

●隠れて悪いことをしたが、それがバレるのはイヤだ、と黙ってる心情はわかりますね。しかし、自分1人のために氏族のみんなが苦しむのを見てるのもイヤだ、という小心者の犯人のために、1人でこっそり行なう呪いを引き受ける儀式があります。たぶんヒョルト人はみんな知ってると思われます。これを実行すると氏族にかけられた呪いは、違反者1人に集中します。そんな大規模な呪いを一身に受けた犯人はボロボロになるので早晩、癒し手か司祭は何が起こっているのか気づくことになります。

●犯人が見つからない場合は(そういうときこそ冒険者向けではない知識系カルトの出番なんですが)、賠償による贖罪がなされないわけですから神罰の呪いがエスカレートしていって、最悪氏族が滅ぶこともありえます。

●違反者が見つかったがつぐなおうとしない。この場合は神罰を違反者1人に向ける儀式があります。ただこれは本当にそれが違反者でなければならず、無実の人間だったり、氏族のために犠牲になろうとする善意の人でもいけません。この違反者1人に神罰が向けられたときこそ、復讐の代行者(復讐精霊)の出番らしいのですが…そうすると代行者の出番はめったに無いことになります、ね?

●ところでこの仕組みを見ると追放(Outlawry)という制裁の意味がわかります。違反を何度も繰り返す人間がいたのでは、氏族が立ち行きません。