現代アートビジネス
●今年の5月にニューヨークの競売で、村上隆の作品「マイ・ロンサム・カウボーイ」が約16億円で落札されて話題になりました。俺が驚いたのはそれがでかいだけの出来が悪いフィギュアに見えたからです。そういう意見は他にもあり、村上隆にはいろんな人が噛み付いてるそうな。
●で、俺には見えない何かを外人さんたちは見てるのだろう、とそれが何か気になってたんですが、先日本屋で「現代アートビジネス」という本を見つけました。著者は小山登美夫。帯に「奈良美智、村上隆を世に出した仕掛け人が語る、アートとお金の関係とは?」と書いてある。ちょっとは理解できるかと思い読んでみました。
●結論から言うとやっぱり理解できませんでした。現代アートの国際的なマーケットとそれに関わる人間のネットワークがあり、村上さんはそれを野心的に利用して成功したのだ、ということのようでした。それはすごい才能なのだと。具体的にどうなってるのかわかりませんが、たぶんあのフィギュアじゃなくてそれにくっついてるコンセプトがすごいのでしょう。
●夏休みの宿題とちがって先生に採点されないので、好きなように書けるのがいいな。思い出したのはサッカーブームのときに村上龍がやたら中田選手を褒めてたこと。あれに似てるかも。あとホリエモン。ホリエモンはプレイヤー兼解説者だったわけですが。
●ギャラリストの小山さんが日本も芸術に金を出しなさいというのは、豆腐屋がみんなもっと豆腐を買いなさいというのと同じ…だと思う。それはいい。一時期、株屋は株を買いなさいと叫んでたし。しかし豆腐を作ってる村上さんが俺の豆腐の味がわからないなんて日本はダメだ、というのはいかがなものか。
●金の話でまとまるならいいのですが。実際に芸術作品は投資の対象でもあるそうですし。それが文化とか歴史とか伝統という言葉をかぶせられた途端にうさんくさくなります。そのあやふやな領域で価値を創造していくのが芸術なんだろうか。外人さんたちはそれを面白がり、俺はそれを面白がれなかった、そういうことなのかな。
- 作者: 小山登美夫
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2008/04/10
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