原初の嵐ウーマスその2

Epikt2008-03-28

●以下の話はヒョルト人の神話にもとづいてます。グローランサでは人種や文化、種族がちがえば世界創造の理屈も異なるので注意です。

●“大気のルーンと変化のルーンの明瞭な境界というのが、ちょっと見当つかないのですよ。”と書きました。どうしてかというと、嵐の神殿の先代(オーランスの父)にして開祖、原初の嵐ウーマスのせいです。ウーマスは闇、水、大地、光の4柱のエレメンタルに最後に加わった5番目のエレメンタル、嵐の王です。ただ大気の神というよりは戦いと変化の神といったあんばいで、大気らしいことはほとんどしてません。

●ウーマスはまだくっついていた天空(エーテル)と大地(ガータ)の間に生まれました。ウーマスが最初に言った言葉は「いつだって、暴力というのは1つの手だ。」 彼は抜いた歯をナイフ代わりにして、母親からみずからを切り離しました。彼は世界のすべてを支配していた宇宙の皇帝イェルムに会いに行きましたが、すでに太陽の一族があらゆる場所を占めていたので、イェルムはウーマスに居場所を与えられませんでした。ウーマスは怒り、父母の元に戻ると、母なる大地に足をふんばり、父なる空を押し上げて中空(中つ世、物質界とも)をつくりました。彼は中空を自らの領域としました。

[追記]
この辺、以下を参照。
天体としてのウーマス - そっちはそっちの気晴らし、こっちはこっちの気晴らし

●以前、 mallion さんに見せてもらったグローランサ世界の断面図では、天空のドーム(天球)と大地の間にウーマスの柱、というのが書いてありました。これが天空を支えて中空をつくっている力なのかどうか。大気の祖らしい働きはこれくらいですね。

●ウーマスは動くのをやめず、またあらゆるものを動かし続けました。イェルムの完全な統治のもとで安定していた世界は動き始めました。こうして始まった変化は最終的に大暗黒につながりました。イェルムはウーマスに止まるように使者を出しましたが、これまで動くものを追ったことのない使者はウーマスに追いつくことができませんでした。

●ウーマスとイェルムの対立は深刻化し、その後いろいろあってウーマスとイェルムの息子、天空の守護者ジャグレクリーンド(ダラ・ハッパ人の神話ではシャーガシュ)の直接の戦いになります。この当時、ウーマスの末子のオーランスはまだ幼い神でしたが、彼なりに父と共に戦いました。ウーマスはそれまでの戦いで傷ついており、最後はジャグレクリーンドによって破壊されます。その様子は、この時はジャグレクリーンドに属していた稲妻ヤヴォールの神話でも語られています。ウーマスは落下してクレーターをつくりました(神界に今でもある)。あるいは中空に霧散したとも言われています。その後、オーランスがウーマスの嵐の力を引き継ぎました。

●というわけで、やはり嵐の神とか大気のエレメント、というよりは世界に変化をもたらした神、戦いや暴力の神という方がふわさしい気がします。変化の神ラーンステイや不和の神カーガン・トールの影が薄いせいもありますが。ところで、ヒョルト人のウーマスの神話にはもう1つパターンがあります。

原初の嵐ウーマス - そっちはそっちの気晴らし、こっちはこっちの気晴らし