フィリップ・K・ディック

Epikt2008-02-16

●なつかしい『ヴァリス(VALIS)』の名前を見たので。『ヴァリス』とはフィリップ・K・ディックの小説です。『ヴァリス』『聖なる侵入』『ティモシー・アーチャーの転生』の3作でヴァリス3部作というそうです。はっきりとつながってるわけではないので、どこまで通じる言い方かわかりませんが。読むまではゲーム「夢幻戦士ヴァリス」の原作だと思ってました。もちろん全然ちがいます。

●学生時代に読んだ『聖なる侵入』には痺れまして、俺のそれまでのディック像だった、“ダメ男のディック”“ブレード・ランナー原作のディック”に加えて、“実は凄いディック”が確立しました。訳者の大瀧啓裕の入れ込みようも激しく、解説で「わたしはまたしてもぐちをこぼさずにはいられない。ディックよ、おまえは狂っている。博学がおまえを狂わせている。」と書いています。

●ところで、日本語の wikiグローランサの“赤の女神”の項目があります。どなたがやってるのかは知りませんが、最近まで更新されてます。その中のルナー文化を説明した部分に、

1970年代当時、アメリカ西海岸でもヒッピー文化と絡んで流行を見せていた禅宗の教えを、ヒッピー経験もある作者のグレッグ・スタフォードらが取り入れ、東洋的で神秘的、深遠で不可解な哲学を持つ新鮮な敵役像を作り上げたものといえる。

というのがありました。西海岸のイメージはヒッピー発生の地、新しい健康法や新興宗教だらけの土地といった感じで、『ヴァリス』や『ティモシー・アーチャーの転生』の舞台がまさにそのまんまの西海岸です。『ヴァリス』とルナー文化は同じ場所で生まれたんですね。元ヒッピーとは、赤の女神様も遠くまで来たもんですね。

●俺が創元SF文庫の『聖なる侵入』を手に取ったのは、カバーイラストが素晴らしかったからです(たしかエヴァンゲリオン絡みで書店に平積みされていた)。藤野一友という画家によるもので、同じく創元の『ヴァリス』も藤野です。別名義でSM絵を描いてたり、こっちもなんだか凄い人でした。