ルナー帝国のカルト:アッガタラルタラ

Epikt2007-12-13

● mallion さんのところで面白い話題が出てました。悟法では物理事象はどうやって説明するのか?

 http://d.hatena.ne.jp/mallion/20071213/p1

悟法というのは思考実験として面白いです。

●原語では mysticism で、2chグローランサ板では悟法ではなく神秘主義と訳すべきだ、という意見がありました。日本語版の「ヒーローウォーズ」での悟法とは、「尋常の宇宙から解脱し、永遠不変の世界に合一する」ことを目的としたものです。現実世界も異界もともにまやかしの世界であるとし、「まやかしの世界に立ちあらわれる物や力を否定する」ことで合一を目指します。多くの流派があり、その中でも比較的PC向けな実践派の法士は「全世界を経験しようと試み、すべての生命と力を自分の心の中に取り込もうと」しているそうです。

●世界はまやかしである、という考え方はわりと一般的だと思います。MATRIXなんてモロですね。フィリップ・K・ディックの小説「ヴァリス」にも「われわれのホログラム的宇宙が教育の道具となり、それによって種々さまざまな新しい生命が窮極的に〈唯一者〉と同形になるまで進歩することが、〈唯一者〉の目的であった」というような文が出てきたりします。

●実践派の具体的なイメージの1つがモンク(修行僧)です。武術の鍛錬によって自分を束縛する最初の枷となる肉体を支配する術を学びます。極まるとカンフー映画でのモンクのイメージに近づき、通常の人間の肉体をこえる運動をしたり、水の上を走ったりするようになります。肉体の限界は否定すべきまやかしの一つということでしょうね。

●悟法の考え方では異界の存在、精霊や神々、ルーンそのものは法士を誘惑する存在となります。彼らは力を与えることで法士を絡めとろうとします。それらは否定しなければなりません。

●「ヒーローウォーズ」ではルナーの女神タラルタラが悟法の神でした(神は否定される存在ですが、悟法達成のための方便なんでしょう)。ところが ILH2 では悟法が割愛されてました。またあらためてまとめて追加されるのかもしれませんが。その残滓と言っていいのかわかりませんが、アッガタラルタラ(Aggataraltara)が悟法の神に似た要素を持っていました。

●アッガタラルタラは“タラルタラの栄光”、創造の“善き混沌”と呼ばれる混沌の神です。信仰の対象にはなるのですが、その見返りが裏目に出るそうです。素晴らしい天啓と思えたものが妄想だったり、慈悲深い存在だと思ったものが歪んだ混沌となったりします。ゆえに、アッガタラルタラから与えられるものは力であれ魔法であれ、全部否定しないといけないんですね。悟法っぽくないですか?