グレート・シスター

Epikt2007-11-10

●新ペローリア語についてあちこち見てたら、発明したのはグレート・シスターとのことでした。赤の皇帝を殺したシェン・セレリスが次に自分も殺すことを予見して、そうなってもルナーの道が失われないように、新ペローリア語を発明して伝道したんだそうです。ということはそれ以前のイリピー・オントールなんかは、新ペローリア語を知らなかったことになりますね。

●このグレート・シスター、あまりルナー帝国の外部に出てこないのでよく知らなかったんですが、月の女神セデーニヤの娘で赤の皇帝の姉? あるいは妹? (英語圏の人たちは兄弟姉妹の年齢にはこだわらんのか?)だそうです。その忠誠の第一は皇帝ではなく女神に捧げられており、そういう意味では赤の皇帝と同格に近いですね。

●読んでてびっくりしたんですが、存在の仕方が皇帝と同じなんですね。殺されても同じ人が帰ってくるようです。赤の皇帝との関係は、皇帝の補完というか裏というか、オーランスとブラスタロス【Brastalos】の関係に似ています。皇帝が武にかたよってるときには治という感じだそうです。今の皇帝は享楽主義で政治がおざなりなので、グレート・シスターが政治の重要な部分に関わっています。

●でも考えてみれば赤の皇帝の人格(性格)が安定しなくなったのはシェン・セレリスの月への侵攻(1449)以後なんですよね。それまでグレート・シスターはどうだったんでしょうね。赤の女神が昇天したときに地上に残した女性としての部分がグレート・シスターということなんですが、皇帝が健在だった頃はあんまり出番なかったんでしょうか。

●「グローランサ年代記」のルナー帝国の未来の滅亡史でも、名前が出てきてませんね。

●面白いのはグレート・シスターの街グラクロドント【Graclodont】です。彼女のいまだ完全には明かされざる計画によって(あるいは帝国の現状を反映して)、常に変化しているのだそうです。なので建築家だの石工だの大工だのが常に流れ込んでおり、建築技術についても最も優れているのだとか。若者向けですね。カルヴィーノの「見えない都市」にもそんな街が出てきました。住人たちは自分らでもよくわからぬ計画に基づいて建築を続けており、いつも工事現場だらけ、という街でした。