The Sky Ship

●「SARTAR RISING vol.3 GATHERING THUNDER」でカリル・スターブロウが天空へのヒーロークエストを行う「The Sky Ship」というシナリオですが、どうしてそんなサーターを救うのに関係なさそうなクエストをするのか、ちゃんとミナリスが説明してました。というか、俺がちゃんと読んでませんでした。

●まず、昇月の寺院は月をさらに高く昇らせて、天空そのものを変えてしまうものだ、と説明されます。グローランサ世界の天空にはドラゴンとされる星座があり、オーランスとされる星座（オーランスの環）もあります。ダラ・ハッパにはこのドラゴンがイェルムを襲って逆にバラバラにされる神話があり、これをヒーロークエストを行うことでドラゴンの方を勝たせられないか、というのが狙いなんですね。明白に神話改変を狙ってたんで驚きました。またこのイェルムが襲われた状況が、1625年に昇月の寺院がドラゴンに襲われた状況とそっくり。つまり最終的には狙い通りに成功したわけです。

●で、とりあえずそのドラゴンがいる天空の河を渡るのに、これまた別の神話に登場する天空の船が必要だ、というつながりでした。この船は今は失われてしまっているので、このクエストではまずそれを復活させます。ヒョルト人の神話ではこの船の船長は Vendeni the Searing Raider になってるけど、ダラ・ハッパの Anaxial のことだから、とさらっと説明してあるのも吹きました。

●オーランスとドラゴンは敵だと思われているが秘密のつながりがある、という伏線が「グローランサ年代記」の「オーランスとドロルガード」だったりして、どれだけ気の長い伏線なんだと（笑）

●ただこのシナリオはやっぱりゲームとしてはどうか、という出来じゃないでしょうか。カリルがメインでPCたちは脇役です。終わり方も尻つぼみっぽい。それにヒーロークエストというアイデア自体、マスターとプレイヤーたちがかなりの知識を共有してないと楽しめないように思えます。この神話が改変できないか、とPLから提案があって、他のメンバーがそれを面白がれる状況じゃないと難しいかも。だから『ヒーローウォーズ』にはヒーロークエストのサンプルが載せてあるんでしょうけど。