架空の都市その2

Epikt2007-08-02

荒俣宏『図の劇場』にはもう1つ、フェラーリオの『世界風俗体系』の日本の図が載ってまして、タイトルは「最高神」。ええまあ、俺らこんな神様は知らんのですが。どこの文化にも最高神がいるってのも思い込みでしょうし。

荒俣宏はさすがに正体を見抜いて、これはインドの神話とごっちゃになってると解説してます。…インドに海を攪拌する神話がありましたが、こんなんでしたっけ?

●『図の劇場』ではこの図は「偶像見物なら日本がいちばん」というタイトルでまとめられてます。当時のヨーロッパでは、日本は偶像崇拝の国ということになってたらしいです。たしかに仏像はたくさんある。

●そこに嘘つき野郎のマルコ・ポーロの証言があり、

「チパング諸島に住む偶像教徒は、マンジヤカタイの偶像教徒と同じ系統に属しており、その奉ずる所も同様に、牛・豚・犬・羊その他の動物の頭をした偶像である。一頭にして四面の偶像もあれば、本来の首に加えて両肩の上にもう一つずつの首をそなえた三頭の偶像は……最高の地位を占める。この偶像に対する彼等の祈りは、この上もなく敬虔である」
マルコ・ポーロ『東方見聞録』

たしかに仏像の一部は多面だし、十二神将には動物面もおられます。微妙に嘘じゃない。

●ゲームの「ATLAS」では最終目的が世界地図の完成、世界の真の姿の発見でした。ただし縛りがあって、地図の作成者はヨーロッパからは動けず、派遣した提督の報告を採用したり、否定したりしながら地図を作成していきます。なので“極東にジパングという国があり、その国民は黄金の中に住んでいました”という報告を採用すれば世界はそのようになるわけです。現実世界でも伝言ゲームをやってるうちに実像が歪んでしまうんですね。それも奇異な特徴は強化され、欠けている部分は想像で補われるので奇妙なことになる。

●変な国がたくさんあるのはグローランサに似ていますが、実際にその目で見るために現地に行ったとしても、変な国は変なままなのがグローランサの素晴らしいところです。

●そしてここだけの話、グローランサのファンはより強い刺激を求めてさらに辺鄙な場所の情報を求めるようになる傾向があると思う。人間の文化に飽きてドラゴンの習性を知りたがる人や、北の大陸に飽きて未知の南の大陸の文化を求める人も多いようです。