架空の都市

Epikt2007-08-01

グローランサの特徴の一つはその背景設定にあると思います。各民族、文化、国家それぞれがユニークです。他のTRPGとは比較になりません。例えば、昔のギリシア人や中国人が考えた世界図、辺境に異人が棲むアレに似ています。

●それはグレッグ本人や有志が頭をしぼって考えた結果なのですが、逆に大真面目にリアルを追求したにも関わらず、グローランサ以上にユニークな幻想が生まれた例があります。

●上の画像はフェラーリオの『世界風俗体系』(1819−1823)という本に実際に載っていた「アミダとシャカを崇拝する日本人」という図だそうです。色がとんでますが背景は空の青色で、野外の風景です。もちろん右がシャカ、左がアミダですよ。

荒俣宏の著作『図の劇場』で紹介されています。この図はイエズス会子の書簡とシーボルトの『江戸参府紀行』だけを情報源として描かれたのだそうです。少ない情報から論理的に再構築すると、こうなったんですね。雰囲気や衣装は中国圏から類推したのでしょうか。結果、この世にはない不思議な国になってしまいました。

●例として当時の日本を実際に見たイエズス会子の書簡があげられています。アレシャンドゥロ・ヴァリニャーノ氏は“信長・秀吉時代の日本に東洋巡察使として4回来日した”そうで、これは“イエズス会本部に書き送った機密報告書”だそうですよ。

「……神々が日本において崇拝されているのは、霊魂を救済すると信ぜられていることよりは、現世の何かに対して力を有するという誤った考えや、日本の諸国王、及び公卿の血統であるということの方に多く基づいている。仏と称せられる他の神々は、支那人のもので、支那人はまたこれをシャムから受け入れたのであるが、諸仏の中で二つが主要なものであり、一は阿弥陀、他は釈迦と称される」
ヴァリニャーノ『日本巡察記』

グローランサの設定本のどこかの国の説明だと思って読むと愉快ですね。