「300」

Epikt2007-06-11

●そう毎日フーゴフゴ言ってなくてもいいだろう、ということで映画「300」の話。見たのは1週間以上前ですが。ウィトキンの写真はキモイしな。

●なんかYouTubeの方では“THIS IS SPARTA!”コラが大流行のようです。ジェラルド・バトラー演じるスパルタ王レオニダスの何かが外人さんの脳にメガヒットしたらしく、あいつらも馬鹿だなぁと嬉しがらせてくれます。お暇な方はどうぞ。



「300」を見て国際政治について考えたり、全体主義と民主主義、弱者の社会参画などについて考えることもできると思う。ものすごく効率の悪い物の考え方ですが。選ばれた優秀な人間だけで構成された軍隊の美しさなんて、ヒトラーが大喜びしそうじゃないですか。みんな半裸で肉体美を誇ってるし。しかしそんなことはどうでもいいので、グローランサ系のゲームをする上で盗める部分があるかどうか、思いつくままに書いてみる。以下ネタバレを含む。


●主役たるスパルタ人はギリシア同盟のポリスの1つで、その点ではダラ・ハッパ文明圏に似てる。でもメンタリティは思いっきりヒョルト人。「俺たちは自由と民主主義を守る、それを邪魔する敵は殺す、and Love?」自分たちはどう考えても全体主義なのに(男児は7歳で強制的にキャンプ送り)。とにかく自由を標榜して皇帝は嫌いという点でも似てる。成人の儀式ででかい狼を狩ってたり。でも狼の怖さって集団性にあるのでは? まあ様式美か。なんとなくダラ・ハッパのアルコスの民がこんな感じなのかな、と思いました。でもあの人たちの主武器はメイスなんですよね。

渡航してきたペルシア軍が上陸直前に嵐にあって一部の船が沈むのをスパルタ側が見てる場面があるんですが、この場面でのスパルタ人のはしゃぎっぷりはそのまんまヒョルト人。嵐の中でみんなはしゃぎすぎ。それをスローで見せる監督もはしゃぎすぎ。

●もちろんヒョルト人とちがう点もあります。いくらヒョルト人だからって専業の戦士はそんなにいない。映画のように戦士を300人集めるのは、大きい部族でも傭兵を雇わないかぎり無理じゃないでしょうか。また戦好きという面でも、スパルタ人が他のポリスの同盟軍に言われたような「おまえらイカレてるよ」という域には達してないと思われます。戦うのも好きですが、他にも好きなことは多いですよね。

●敵のアケメネス朝ペルシア帝国はそのまんまルナー帝国だった。でもルナー帝国のモデルはササン朝ペルシアでしたっけ。複数の文化を入朝させているアジアの大国なわけで、軍隊の兵種がバリエーションに富んでいた。ライノライダーはちょっとウソ臭かったが、やっぱり象部隊は出ましたね。ただルナーに劣るのは各部隊の連携がぜんぜんできてなかった点。戦場が狭かったので複数の部隊を投入できなかったのです。これはヒョルト人も積極的に取り入れるべき戦術でしょう。

●ペルシアのクセルクセス王は明らかにカルト化してましたね。神を自称してたし。戦場にハーレムをつれて歩くのは余裕出しすぎですけど、まあこれはルナーの皇帝もやりかねない。この王様が登場した時点で、「300」を見に来て良かったと確信しました。とてもいいキャラ。史実では名君だったらしいのですが、映画の中では文明の腐敗みたいなものを背負わされてました。ハーレムにおもしろ奇形多すぎです。

●クセルクセス王の親衛隊は不死(イモータル)の噂があり、これなんかそのまんまルナーの設定にパクってますね。でも他の兵種に比べて普通に強いだけで、面白みがなかったのが残念です。前フリがすごかっただけに。おそろいの仮面だけじゃん。死人みたいな顔をしてるのは、痛覚を麻痺させる薬物に中毒してるからで、腕1本跳んだくらいでは動きが止まらない、とか、普段は暗中で訓練してる暗殺者集団で(だから色が白い)、忍者みたいに動くとかもう少し考えるべきだ。それだと強くなりすぎるのか。