ヒョルト人のカルト:オデイラ

Epikt2009-05-09

オーランスの息子、狩人にして熊の神、深奥の狩人オデイラ(Odayla, The Deep Hunter)です。オデイラはオーランスがまだ文明を知らないヴァラノーランス(Varanorlanth)だったころ、野の姫(Lady of the Wild)ヴェルハラとの間にもうけた双子の片割れでした。オーランスに似ていた子供は彼が連れて帰り、後に狩人の神オーマラヤ(Ormalaya)となりました。残されたオデイラは自然の中で野の姫に育てられました。

●オデイラは熊の姿で生まれ、野性に満たされていました。彼は野生の動物たちと共に生き、野に暮らすあらゆる生き物の魔法、季節の巡り、魂について学びました。やがてオデイラは成長して、自分には父が欠けていると知りました。ヴェルハラにオーランスのことを教えられたオデイラは父に会うことを望みましたが、ヴェルハラはオデイラが野の生き物であるかぎり、オーランスには受け入れてもらえないと言いました。

●オデイラは父に会うために己の中の野性を飼いならす方法を探し求め、最後に自然の世界と神の世界を渡り歩く“大いなる熊(Great Bear)”を探すことにしました。オデイラは異界を秘密裏に旅する方法、獣を追跡する技を学びました。それから“大いなる熊”を追跡し始めましたが、彼は熊を捕らえられませんでした。オデイラがあきらめると今度は熊が彼を追跡して、ついにオデイラを捕らえました。

●神と獣は長い間、殴り合い、取っ組み合いました。最後に一方がもう一方を殺し、その皮を奪って身にまといました。勝ったのは“大いなる熊”だともオデイラだとも言われていますが、オデイラの信者は二人が別の存在ではなく、オデイラこそが“大いなる熊”であることを理解しています。

●獣を支配すると、オデイラはオーランスのステッド(農場)をおとずれ、よそ者として迎えられました。オーマラヤがもてなしの挨拶をしましたが、彼はオデイラが自分の双子の兄弟だとは気がつきませんでした。オーランスは父親としてオデイラを歓迎しましたが、オデイラについて何も知らないと言いました。そこでオデイラは皮を脱いで本性をあらわし、母の名前を告げました。彼の唸り声を聞いて、農場のアリンクス(かすみ猫)たちは恐れをなして逃げました。農場の誰もがオーマラヤも同じように皮を脱いで熊になるのではないかと恐れました。オーランスはオデイラを息子と認め、彼の家族の輪に迎え入れました。

●オデイラは親族の元にとどまり、自然の中で学んだことを彼らに教えました。しかししばらくすると、あらゆる面で野性を失いました。アリンクスを食べることは許されませんでしたし、冬眠しようとすると誰かが邪魔をしました。結局、彼は野に戻ることにしました。再び自然の中に戻ったオデイラは、かつての自分が自然の一部にすぎなかったのだと知りました。そして今や自然から外れてしまった彼は、再び狩りを始めました。

●それから後、オデイラはしばしばオーランスとヴィングコットの子らを助けましたが、農場にはめったに姿を見せず、常にはなれた自然の中で暮らしました。彼は農場に来るたびに親族たちに食糧を持って来ました。しかし長くとどまることはできず、いつも野に戻りました。農場の女は誰1人として彼と(正式な)結婚をしようとはしませんでしたが、それでもオデイラは息子や娘たちを得て、子供たちの多くはオデイラの孤独な狩りについて行きました。

●大暗黒が来ると、オデイラは必要に応じて眠り、そして目覚めました。彼は農場を破壊され、自然の中で暮らさざるをえなくなった親族が増えているのを知りました。オデイラは彼らを迎え入れ、眠ることで死から逃れる方法を教えました

●暗黒は混沌に取ってかわりました。仲間のほとんどが目を覚まさなくなり、ついにオデイラは生命の無い、完全な暗黒の世界で目を覚ましました。彼はもはや獲物を見つけることができませんでした。オデイラは徐々に弱り、最後に神の死体を見つけました。それを食べることが生き延びるための唯一の方法でしたが、オデイラはそれが父親の肉体であることを知り、自分のするべきことを理解しました。彼は横たわり、死そのものである最後の眠りにつきました。

●しかしながら、オデイラの死は生きることでした。別の世界において彼は父親のそばで目を覚ましたからです。オデイラはオーランスを起こし、死と眠りが同じものであることを教えました。オーランスは起き上がって息子に感謝し、他の同行者(彼らもまた死んでいました)を捜しに行きました。オデイラは父親が探索に戻ると、眼を覚まして元の世界に蘇生しました。

●曙には、オデイラの魔法が長い冬をやり過ごすのに役立つものであったために、彼の信者が数多くいました。オデイラは熊として、神として、その両方として知られていました。時が過ぎて農業と農耕生活が広まると、オデイラは自然とともに遠ざかりました。彼は深奥の狩人となり、オデイラの信者は農場と家族の元を離れ、自然の中で暮らし、狩りをするようになりました。