ヒーローウォーズの判定

● nayuta77 さんにトラックバックをいただいたので。
運用-1.作業ポイントと累積判定 - 蒼き月の囁き
俺がTRPGでいいな、と考えるのはPL全員が協力して1つのことを達成しなければならない、という状況です。全員に果たすべき役割(責任)があるのがいい。「ヒーローウォーズ」はそういう場面を上手く作ってくれます。

●昔、ヒーローウォーズGMをした場面に、馬車(戦車)競技があります。ある部族のフマクトの祭という設定でした。死の神フマクトが偽の剣(死)どもを打ち負かし、真の剣を所有するにいたった神話にもとづいたもので、木剣を持った戦士たちが馬車で走りつつ戦い、最後に勝ち残った戦士の木剣をフマクトに奉納します。勝者は部族のその年の勇士(チャンピオン)になります。各氏族の一番の戦士と従者と御者が参加し、また外部からも有名な戦士をゲストとして招くことがあります。

●で、状況として、ドラゴン・パスに駐屯しているルナー軍がこの祭に1人の戦士を参加させていることにしました。ハンサムで強く、軍のバックアップがあり、地位も財産も持っている男です。もしこの祭で勝ったら女王に求婚するだろう、という噂もあります。これでPLは負けたくないと思ってくれたでしょう。たとえ他の参加者に負けても、ルナー人にだけは負けられません。

●その回のPLは2人でした。3人いないと馬車のバランスが悪いので1人はPCの従者を乗せました。ゲーム中につけた条件は、
・馬車を移動させられるのは御者担当のキャラだけであること。馬車を操る判定に成功すれば前か後ろに1つ移動するか、同じエリアの中で位置を変えられる。
・物理的な攻撃は木剣のみによること。木剣での攻撃はとなりの馬車にしか行なえないこと。
絵にするとこんなんです。




左に向かって進んでいると考え、エリアは先行、中ほど、後続の3つしかありません。それ以上進んだり遅れたりすることはできません。こうすれば御者も戦士もそれぞれ責任のある仕事ができると考えました。御者が移動に成功しなければ、戦士は狙いたい相手を攻撃することができません。この辺はトーキョーN◎VAチェイス戦のパクリですね。

●ルール的にはこの競技全体が終わるまでが1つの集団継続判定で、AP(アクションポイント)が0になったものは脱落。最後に残った1人が勝利者です。

●俺が面白いと思った場面。1人“かすみ猫(アリンクス)”インキンの戦士がおり、ずるいヤツで攻撃されないエリアに逃げてばかりいて、人数が減るのを待っていることにしました。PLたちはこいつを狙ったのですが、インキンの信者は身軽なのでかわされてしまいます。業を煮やした御者担当のPLが「多少離れてても声は届く?」と言い出しました。

●届くと判断したら「大声で卑怯者と罵倒してやる」と。ヒーローウォーズでは可能と判断されれば、あらゆる能力で対象のAPを減らすことができます。で、彼は交渉系の技能で攻撃。受け手のインキン戦士は、しかしインキンの神技《罪を感じない》で対抗します。恥など人間にしかない概念なのです。結果、ダイス目が悪かったインキン戦士が負けてしまい、彼は羞恥心のあまり戦意を喪失して(APが0以下に)、競技を降りてしまいました。

●何が言いたいかというと、必ずしも目的に最適な能力を持っていなくても仲間に貢献できる、あるいは貢献する方法をアレコレ考えることができるヒーローウォーズは素晴らしいゲームですね(笑)