イェルムの嫁候補の言い分その2

Epikt2008-05-13

●皆様からコメントをいただいた女神モラーニ(Molanni、モラニとも)について。「グローランサ年代記」にはこう書いてありました(P.69)。

モラーニ(Molanni)。よどんだ大気の女神。嵐の部族の裏切り者であり、敵に身を売って干魃の神であるダーガを産んだ。

たしかに火の部族のイェルムのとこにいって愛妾やってりゃ裏切り者です。しかもイェルムとの間に生まれたのが旱魃の神とは。

●モラーニ自身は嵐の部族のヴェイドラスの娘でオーランスの姪にあたるそうです。同じく「グローランサ年代記」からヴェイドラスの説明(P.66)。

ヴェイドラス(Vadrus)。破壊の風の神。ヴェイドラスは神々の戦いの中で落命したが、病んだ風ヴェイドリュディは今なおこの世に呼び出すことができる。嵐の部族のうち、心ねじけたものども(すなわちヴァリンド、ガガース、モラーニ)の父でもある。

 
●ダラ・ハッパの神話は厳格だったり抽象的だったりして、人間味に欠けるように思ってましたが、嫁選びの神話ではイェルムもずいぶん人間臭いです。嫁選びにいたる前の部分もあります。結婚する前、デンダーラは弟のロウドリルの推薦でイェルムに仕えていました。その頃の話。

彼女は彼を面白がらせました。彼らが山々の隆起を目撃したとき、イェルムは素晴らしいと言い、デンダーラもそれを好きだと言いました。イェルムは威厳と壮麗さが素晴らしいと言い、デンダーラは小さい山も面白いと感じました、と言いました。イェルムはこれについて尋ねました。
 
彼は言いました。「面白く感じたとは?」
 
「鼻の下を羽根でくすぐられたようでした」彼女はそう言ってくすくす笑い、イェルムは鼻の下を羽根でくすぐられるのがどんなものか見当もつかなかったのですが、彼は彼女の笑いが好きでした。

イェルム腑抜けとる! たとえ宇宙の皇帝イェルムでも女の影響は無視できないのだ、というのがこの神話の真実なのだ。