奇貨居くべし

Epikt2007-11-30

●思わぬ転がり方をする能力って何かあったか、と考えていて〈奇貨居くべし〉の故事を思い出しました。辞書では「めずらしい品物だから買ってしまっておくがいい。得がたい機会だからのがさず利用すべきだの意味」となります。

●中国は春秋戦国時代、韓の豪商だった呂不韋の故事です。彼は趙の国で人質になっていた秦の太子の庶子、子楚を発見したときに「奇貨居くべし!」と天啓を得ました。それから子楚に接近し、その財力に物を言わせて子楚を太子の嫡子にしてしまいました。さらに太子が秦王になってすぐ死去すると、子楚は秦王になって呂不韋はその宰相となりました。

●商人としての能力が政治に転がった例です。子楚は呂不韋の妾の1人を気に入って妻としてもらいうけており、その息子が秦王政、すなわち始皇帝です。この妾が呂不韋の子を身ごもっていたという説もあって、もしそれが本当なら呂不韋は天下を購ったことになります。ただし、秦王政は実母も呂不韋も疎んじていて、呂不韋は秦から追放され自裁するという末路をたどりました。

●この〈奇貨居くべし〉の用例が変でした。

バーゲン・セールでしこたま買いこんだ奥様の、旦那様に放った最初のことば、
「ねえあなた、すばらしいでしょ、この品がこのお値段! まったく『奇貨居くべし』ね!」

そんな奥様はいねえ。

●商人なら誰もが持っている目利きの能力で、人物や事象を測ってみる、というのも面白いかもしれません。貧乏時代のアーグラスに接近して、利用したりされたりしてみるとか。