“仲人”ヴェラ

●mallionさんのところで出てた“仲人”ヴェラと関係あるような、ないような話。“仲人”ヴェラが権力者になれるかどうか。

 http://d.hatena.ne.jp/mallion/20070602/p1

●以下は『宇宙大作戦 スポックの世界』という小説での話なので、スタートレック世界全体に共通する公式設定というわけではありません。初代スタートレックの副長スポックさんの母星、惑星ヴァルカンはもともとグローランサのトロウル種族のような母権制でした。

●惑星ヴァルカンはヴァルカン人の祖先である知的生命体が生まれた頃に環境の変化を起こし(具体的には太陽が近くなった)、生存するには過酷な世界となりました。

●ヴァルカン人が地球人よりも優れた身体能力を持つのはそのせいです。また有利な遺伝的特徴を持つ者が、優先的に子孫を残すように操作されました。誰と誰を結婚させるかは女族長が決めました。一番最初に認められた特徴は、太陽光を直視できる目でした。この目を持つ者が多くいれば昼間に戦争をしかけることができ、貴重な水源を支配することができました。優れた人間を多く持つ氏族がさかえ、その母親は権力者になることを期待できました。この氏族内での特殊な血統は、他氏族との外交に使うこともでき、姻戚関係をコントロールすることで、他氏族への影響力を強めることができました。

●「有利な遺伝子」という考え方はヴァルカンでは一般的だったようで、遺伝子工学が盛んになりました。スポックが生まれるにはヴァルカン人の父と地球人の母の遺伝子の両方の特徴を持ち、しかも拒絶しあわないという難しい操作が必要でしたが、これを行ったのはヴァルカンの研究チームです。そのためスポックの身体データは宇宙で唯一と言えるものになってしまい、艦医のドクター・マッコイを悩ませることになります。身体検査を要求されるたびに「私はモルモットではない」とスポックは怒ってましたが、マッコイにも当然の理由はあったのです。

●近代化の後、論理を重んじるスラックの哲学が普及して精神的な革命が起こり、女族長の地位は表向きは名誉職と言えるものになりました。しかし、実際にはまだ強い影響力を持っていて、ヴァルカンの政治にも介入することがあります。スポックの父、サレックが地球在住の大使となったのも一族の女族長の指示でした。