(再)LOVE LOGIC―蜜と罰
『LOVE LOGIC―蜜と罰』
著者:清涼院流水
●清涼院という作家さんは、本格推理ブームで登場した作家陣の2軍の人だと思ってました。店頭でよく名前は見るんですが、当たった作品を聞いたことがありません。なので、読んだこともありません。
●なぜこの本だけ買ったかというと、デビュー10周年記念作品とかで、推理パートがゲームブック形式になってます。推理作家のゲームブックは私の知るかぎり、山口雅也の『13人目の探偵士』以来じゃないでしょうか。
※以下、ネタバレを含みます。新鮮な気持ちで読みたい方は避けてください。
●で、帯の“閉じこめられた男女10人──脱出、さもなくば死。史上最悪のDEAD OR ALIVE!”という煽りからして、館に閉じ込められて殺人事件の犯人を当てるんだと思ってたらちがいました。恋人が見つかる登録制会員クラブの招待に応じた男女が、閉じ込められた館の中でお互いの理想の恋人を見つけて、2人ずつ脱出していくという筋でした。 もちろんカップリングが外れると死にます。
●各人はそれぞれ自分が考える自分の魅力をトータルで100%として、外見、性格、技能、財力、環境の5つの分野に割り振ったデータを登録しています。同じように理想の恋人への要求を100%として、同じ5つの分野に割り振ったデータも持ってます。これにもとづいてクラブ側が想定したベストなカップリングを当てていくわけです。
●だったら全部、論理的に当てられそうなものですが、そうはいきません。少しずつ数字が食い違う上に、数字以外の希望条件もあるからです。この条件は最初は隠されていて、ゲームが進行するにつれて明かされていきます。
●このアイデアは斬新で、これはゲームブックの革命だ! と思ったりしました。誰と誰がくっつく、という話は楽しいのです。ゲームも途中までは楽しめたのですが(ゲームブックらしい仕掛けが1点あった)、しかし終わってみればそれだけでした。オチが幼稚。特に黒幕のクラブ側の人。なんだこいつ。クラブの設定もひどいが。ゲームブックだからこれでいいや、と考えたのか元来がこういう作風なのか。ゲームブックってつまらねえんじゃねえの? とすら思ってしまったよ。
●途中経過の「私はMなので、恋人にSの性癖を希望したから」とか「Hの上手な人を希望したわ」「だったら僕じゃないかも」とか、みんなで討論してる状況は面白かったんですけどね。できあがったカップリングも納得いかないのあったしなぁ。
●なお、1セクション1ページで099ページから256ページがゲームの部分です。